願わくは私達の子供達が幸せでありますように

イザーク王妃 リノク


ファイアーエムブレム異伝
第二部「母親として」


第一話「もう一つのユグドラル大陸」


 『グラン歴751年』


 夜 アグスティ城 客室

「ここは?」
 私が目を覚ましたらそこは見知らぬ、いや少し見覚えがある部屋だった。
「確か、御父様とお母様にアグストリアのアレス閣下にお会いに行った時にこんな場所に止まったような気が・・・」

 コン コン

「どうぞ」
「入るぞ、娘」
 と入ってきたのは歴史書に書かれていたイムカ王と・・・
「あ、アレス閣下?」
「いや、私はノディオンのエルトシャンという者だが」
 そうよね、私より若いアレス閣下なんて・・・え?獅子心王エルトシャン様?
「儂が誰か分かるか?」
 イムカ王がご健在している?これは一体?
「済みません、よく状況が理解できないのですが」
「そうか、まず、汝の名を聞こう」
「私はノルンと申します」
「ノルンかいい名だ。ここはアグストリアのアグスティ城だ。汝は豪雨の中で倒れていた所をこのノディオン王に助けられたのだ」
「そうですか、エルトシャン様有り難うございます」
「なに、私は当然の事をしたまでだ所でノルン、君は何処から来たんだ?」
「イ、遙か遠くの東の土地です」
「東?イザーク当たりか?」
「イザークよりもっと遙かに東に行ったところです」
「そうか・・・では何故旅をしている?」
「ただ宿命(さだめ)に導かれ、当てのない旅をしている者です」
「そうか、ノルン。汝が良かったらここに逗留する気はないか?」
「私がですか?」
「うむ、汝の見聞が儂の政治に役に立つかも知れぬからな」
「こんな小娘でよろしければ」
「頼む、儂が聞きたいのはそれだけじゃ汝から聞きたい事はあるか?」
「今はグラン歴何年なのですか?」
「751年だ」
やはり、いやもしかすると私は
「他に何か?」
「いいえ、有り難うございました」
「そうか、それでは失礼するぞ」と言って二人は部屋から出ていった。

 廊下

「ふむ、なかなか尻尾は見せぬか」
「え?何を?」
「あの女、何か隠しておる。最も面は割れてはいるのだがな」
「それは一体?」
「あの女はイザークの王族だ。オードの聖痕が薄いが背中にあったとメイドから聞いておる」
「イザーク王家の私生児だと?」
「うむ、エルトシャンよ。良い拾い物をしてくれた」
「お言葉ですがイムカ様、私はただ人として正しい事をしたまでで」
「そうじゃな、それも正しい、だがなエルトシャンよ、政治という物は場合によっては人を駒にする必要がある時もある。心しておけ」
「はい」
 私は頷いた。
「ところであの女どうだ?」
「どうだと言われましても・・・美しい方でしたね、透明感がある白い肌に濡れたような長い黒髪、少なくとも私の人生で見た中では相当な美人だと思います」
「うむ、お主の腹違いの妹と同じもしくはそれ以上の美貌だ」
「まさか、ラケシスとは比べ物になりませんよ」
「ふふ、兄馬鹿ここにありか」
「え?」
「自覚もないか。まぁいい後、お前の内政の件だが」
「はっ」
「筋はいい、お前が儂の息子であるのなら良かったのだが」
「閣下!」
「最後の言葉は忘れろ。エルトシャン、まだお前には色々知って欲しいことがある。だからへこたれるのではないぞ?」
「はっ!」


 2『アナザーワールド』


 アグストリア城 客室

「やっぱり・・・違う世界なのですね」
 少なくともお母様が存在しているユグドラル大陸ではない、私はそう思える。
 そう、恐らくお母様が言っていた平行世界という物だと思う、もし、お母様がいれば私はそれを感じることが出来るし
 私の知っているユグドラル大陸ならばアグストリアの歴史書に私が現れたと言う記録が載っているはずだし、
 それならばお母様がお父様に会う前に私はお母様を出来る限り手伝っていたはずだ。
「これがお母様の言われていた運命の荒波なのですね」
 私はお母様がいっていた意味が少し分かったような気がする。

  数年前 イザーク リノクの工房

 「お母様?ここの工房でお話なんてそれ程重要なお話なんですか?」
 「そうだぜ、ふらふら外に風来坊していた俺を急に呼び寄せてよ」
 「でも僕はルーグ兄さんに会えて嬉しいですけど」
 「俺だって、自分の妹弟に久しぶりに逢うのは嬉しいぜ、でもよ、遅くねえか?
  確かさっき『準備するから待っていて』って言ったよな」
 「そうですわね・・・」
 
   ガチャ

 「お待たせ」
 「お母様お話というのは?」
 「私の血の事」
 「お袋の?親父は古竜族だっけ?その血を引いてるって聞いたけどよ」
 「そうね、私もある意味それと同じなのよ」
 「え?と言うことは私達も?」
 「そうよ、でも私が持っている血はそんなに生優しい物ではないわ」
 「教えろよ、お袋」
 「聞く気はあるのね?」
 「ああ、俺はなどんなにハードな話だろうと俺は俺の道を貫く」
 「私もお兄さまと同じです」
 「僕も自分の中に流れる血の意味は知っておきたい」
 「分かったわ、教えましょう。忌まわしき混沌の神を・・・」
  そして私達は小さい頃、上手くはぐらかされていたお父様との馴れ初めを絡めたカオスの話を聞いた。
 「随分と激しい話だな、おまけにカオスはまだ生きているって?」
 「ええ、でもこのユグドラル大陸に干渉をする事はできないはずよ、今のユグドラル、強いて言うならこの世界は著しく平和だもの」
 「んで、俺等にどう関わって来るんだ?」
 「貴方達をどこかに飛ばすのよ、このユグドラル大陸ではないどこかにね」
 「俺は別に構わないさ、もしカオスが戦乱の渦に巻き込まれているどこかに俺を飛ばすのであれば俺は自分の剣が何処まで先に行けるのかそこで試してみたい、剣の道に終わりはあるのかをな」
 「そうね、ルーグはそれでいいわ、貴方の幸せは剣を極めることなんでしょ?」
 「ああ」
 「私は貴方達が幸せであればいい、もしどこか違う世界に飛ばされても強く、そして優しくなってくれれば何も言わない」
 「お母様・・・」
 「そんなに思い詰めた顔をしないでノルン」
 「でも、私はお母様のいない世界なんて考えられない!」
 「大丈夫、そう言う時は誰かを好きになりなさい、そしてこの世界にいた時より幸せになりなさい」
 「はい」
 「ケルプ・・・」
 「分かってます。母上」
 「そう言ってくれるね、ルーグ貴方はこれを持っていきなさい」
  お母様は一振りの剣をお兄さまに渡した。 
 「お袋、これ・・・」
 「そうよ、ルーグ貴方の剣よ」
 「マジかよ」
 「そうよ、打ったのは私、銘はアンスエラー」
 「抜いていいか?」
 「ええ」
 
  シュラ と静かな音を立ててアンスエラーはとても綺麗な刀身を露わにした。

 「・・・スゲェ業物だ。ありがとよお袋」
  お兄さまはアンスエラーを鞘に収めると自分の腰に差してそう言った。 
 「ふふ、有り難うノルン貴方はこれよ」
  と言ってお母様はサマナーリングを私に渡してくれる。
 「サマナーリング?いいのですか?」
 「ええ、でも契約は自分でしなさい、いいわね?」
 「はい!!」

「この事だったのね・・・」
 私はテーブルに置いてあるサマナーリングを見ながら呟いた。
「と言う事は私は一人ぼっち」
 何が出来るのだろうか?何時も自分のお母様の背中を見ていた。いや、今でも見ている
 私が誰かを愛することが出来るのできるのだろうか?
 何時になったらお母様を私は越えることが出来るのだろうか・・・

  サァァァァァァ

「あっ、雨」
 外には私を慰めるようにシトシトと雨が降っていた。


 3『私があの人を初めて見た時の事』


 ノディオン城 ラケシスの部屋

 エルトお兄様が私以外の女性の話をいていた。
 聞く事によると儚げでそして上品でとても黒髪が綺麗な女性(ひと)らしい
 つまり私には無い物だけを持っていて、なおかつ、かなりの美人だと言う事だ。
「気になる人・・・」
 という感じだ。もしかすると彼女もエルトお兄様の事が好きなのかも知れない
「それならば・・・侵入あるのみ!」
 そう思い私は、その人がどれ程の人か見に行くのであった。

 次の日 午後 アグスティ城 庭

「ここに居るって聞いていたけど」
 見張りに立っている兵士さんから色々と聞きだしてやっとここまで来たけど
「何処なのかしら?」
 少なくとも庭園には居ない・・・何処に居るんだろう?

「待て!、その手は!」
 え?ええ?

「イムカ様こそさっきは手酷い仕打ちをなさりましたわ」
 イムカ御爺様が酷い仕打ち??

「むぅぅ、さっきまでは後一手で落とせたものを」
 落とすぅ!?

「くすくす、それは隙を作る為の・・でしたので」
 な、何をしてるの?

「うぬぬぬ、ならばこれでどうじゃ!」

「ああ!ご無体な、・・・・!」
 ってなんか凄く嫌な・・・

「ふふふ、どうする?」

「と見かけまして・・・」

「うっ!その様な手を!」
 凄く、なにか嫌な事してないかしら・・・

「これで私の・・ですわね」
 な、何が?

「うぬぬうぅ、これはアレに知られるわけにはいかんな」
 ・・・って御祖母様様に!!ま、まさか!!と思う前に私は声のする方向そうベランダの方に駆け出していた。

「そんなやましい事しちゃダメ!!」

「「へ?」」
 そして私が叫びながら駆け出した場所では・・・・

「ち、チェス?」

「ええ、そうですわ、ええと何方でしょうか?」
 と微笑みながら私に名を尋ねる綺麗な黒髪の人・・・この人が
「私はラケシス、エルトお兄様の妹と言えば分かるかしら?」
「ああ、あのエルトシャン様の妹様ですか私はノルンと申します」
 私に恭しく礼をする。
「エルトお兄様からお話は聞いています。たしかに噂通りの美人ですわ」
「ご謙遜をラケシス様の方が私にない、美しさを持っていらっしゃる」
 ノルンさんはころころと微笑みながら、そう答えた。
「ノルンよ。もう一度じゃ、今度は負けんぞ」
「ええ、私でよければいくらでも」
「私も見ていいかしら?」
「私は構いませんわ、イムカ様の方にお聞きした方がよろしいのでは?」
「イムカ御爺様は?」
「よく見ておれラケシス、次こそは儂が勝ってみせるわい」
「イムカ御爺様頑張ってください」
 と私はイムカ御爺様を応援するのだった。


 4『決心』


 夜 アグスティ城 客室

「ふぅ」
 私はストールを椅子にかけそのままベットに倒れ込んだ
「私はどうするべきなのかしら?」
 少なくとも今は平時だと思う、ならば私の力はそう使う機会はないだろう。
 そして私の知っているユグドラ史は恐らく役に立たないはずだ。
 ならばどの様に動くかだ・・・
 今はアグストリアに逗留しているのだからしばらくは生きることに対しては安心だと言える。
 そして、イムカ王は私の知識を必要としている。
「私は幸せになれるのでしょうか・・・」
 仰向けになり天井を見ながらそっと彼の名を呟いた
「獅子心王(ライオンハート)エルトシャン様か・・・」


 続く


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 後書き

作者「・・・」
リノク「ちょといい?」
作者「不了承」
リノク「焼かれたい?」
作者「それもいや」
リノク「なんでこんなに遅かったの?」
作者「諸般の都合上メモ帳とビルダーで喧嘩するより、一太郎で喧嘩する方が多かったからだ。遅くなってすみまんでした」
リノク「はぁ・・・わかったわ、んで私の娘はどうなるのよ?」
作者「まぁ・・・ほのぼのとゆっくりと恋愛モードだな、今のところは」
リノク「今のところは?」
作者「そう言うことだよ」
リノク「あと、自慢の娘の紹介を載せておくので良かったら見てあげて」


 ノルン 16才

 「私はお母様のようになれるのでしょうか・・・」

 身長 171p
 体重 乙女に聞く物ではない
 B97 W59 H94

 容姿
 黒髪、黒い目と完全にイザーク系の血が色濃く継いでいるのがよく分かる。
 背中に薄いながらもオードの聖痕がある。

 性格

 礼儀正しく、おっとりしているがその実内罰的で、やや完璧主義のきらいがある。
 だが根本的には優しい人間

 設定

 前作にあたる狂神の娘主役のリノクとシャナンの間に生まれた娘
 リノクの『魔法を行使する力』と『知性』を色濃く引き継いでおり、その結果リノクから
 多数の魔法と政治、戦略を伝授される。
 その為かリノクを理想の女性像として見ており、それを越えようと日々努力している。
 特に特筆すべきなのは母から受け継いだサマナーリングによる召喚魔法である。
 両親が剣の名手である事からかなり高度な剣術を使えるのだが、病弱なため長時間戦うことができない

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