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歴史に学べ!・うらばなし
ここまで来てくださるとは、有り難いです。では、もう少しお付き合いくださいね。 1.歴史ができるまで この話を書く過程は、かなりの難産でした。当初は、1〜2ページ程度の短編で、 2週間程度で仕上げるつもりだったのですが、別のテーマを取りこんだり、 話の内容を練り上げ、組み直したりするのに手間取って、結局8ページの中編、 制作期間3ヶ月弱という代物になってしまいました。 先程書いた通り、執筆当初から構想にあったのは、私の 「ロプトに連なるものを滅ぼしたいなら、まず私とユリアを切り捨ててくれ!」 という内容のメッセージでした。 一般論・抽象論では説得力が無いので、できるだけ具体的で、「気持ち」のこもった 差別問題を扱いたいと思った結果、このようになりました。 ところが、ここで一つ問題が生じました。 私・セリスは王です。自分の考えを、政策として具体的な形にしなければなりません (周囲の助けを得ながら、ですが)。 今回の場合、ロプト教徒といかに共存するかを、ちゃんとした方策として 示さなければならないのです。 ここで私は、はたと困りました。私(くうねる)には、そんな知識、能力はありません。 世界史などもちゃんと学んでいませんし、ましてや政治論など全くの素人です。 理念をどう政策に反映させるか…手詰まり状態に陥りました。 そこで、他の人のお知恵を借りることにしました。 ここからもリンクさせて頂いている、 Project-Reverse というサイトさんがあります。聖戦の系譜を、より現実的かつシビアな視点で 捉え直した小説があり、また、そこの掲示板では高い見識を持つ多くの方が 興味深い考察を展開しています。 そこで、私が「宗教、民族において、これまで対立してきた集団をまとめるための、 宥和政策の具体例を教えてください」という書き込みをしました。 それに対し、数人の方がとても丁寧な返事を下さいました。 どなたも、非常に鋭い視点で、現実、およびFEでの宥和政策を論じていて、 中には私の目論みを崩す指摘もありました。 ひとつは、「ナーガたち12神と、ロプトウスとは根本的に真っ向から対立していて、 これらの宗教を信奉する人達の間での宥和は基本的にあり得ない」という指摘。 土壇場の魔術師様から頂きました。 確かに正論であり、しかも私の構想を崩しかねない内容です。 もう一つは、「宥和政策は主に為政者の立場に立ったものであり、 より厳格な統治が不可能な場合の次善の政策である」という指摘。 takuwo様から頂きました。これも、鋭い視点でした。 これらの指摘によって、自分の考えの甘さ、未熟さを思い知りました。 一時は、これを書くのを止めようかなとも思いましたが、 未熟は未熟なりに、自分の意見を述べる意義はあるだろうと思い、 書きつづけることにしました。 まず第一の、神々の対立の問題。竜族が、ロプトウスが復活すると、 間違いなくブラギ教信者とロプト教信者は対立します。 ならば、ロプト復活を必ず防ぐ必要が出てきます。 また、ナーガたち光の竜族の出現も、ロプトへの人々の対立心を煽るでしょう。 これを解決するために、色々考え…、出した結論は、 「聖戦士の武器の不使用条約」でした。竜の神が実在し、対立しているならば、 その争いをユグドラルに持ちこませなければ良いのです。 そうして、マイラ派の教えなど、宗教的に共存できる関係を作れば、 宥和は不可能ではない…、そう考えました。 次に、第二の点。私・セリスは、民衆のためというわけではなく、 根本的には私自身のために、この政策を実行しようとしている。それに気づきました。 私の血筋…光と闇を併せ持つ…が、そうさせたのでしょうか。 それを前面に出すことで、自分の考えを示す道筋がきっちりと見えてきました。 他にも、掲示板でご意見を下さった方には非常に感謝しています。 私の考えには、まだまだ甘いところ、見落としているところが多いかと思います。 あなたが感じたことを、ここの掲示板などで遠慮無く仰っていただければ幸いです。 2.オリジナルキャラクターの誕生秘話 この話には、FE本編には登場しなかったオリジナルキャラクターが 大勢登場します。バッツ、リルル、ケインと、シムソンですね。 オリジナルキャラクターを使うのはあまり好きではないのですが、 今回は、戦争終了後が舞台で、ロプト教徒の個人を登場させる必要があることから、 こうした設定を使うことにしました。 ですが…やはり、キャラクターとしては今一つ目立っていませんね。 FEの大きな魅力である「個性的、魅力的な登場人物」に対し、 私の人物作りの能力が大きく引けを取っている感じです。 村のリーダー的存在の、力強いオヤジ・バッツと、 お目々きらきら、一途な夢見る少女・リルルは、多少なりとも個性が出ましたが。 シムソンに、人物としての押しが弱かったのは、作者として心残りです。 オリジナルキャラクターのそれぞれの設定やモデルについて、少し話しましょう。 バッツ ずっとこの村で生活してきた農夫ですね。筋骨隆々のたくましい父ちゃんで、 背も高く、肌も日に焼け、非常に貫禄があります。それだけでなく、 判断力やリーダーシップにも優れ、実質的に村の指導者と言って良いでしょう。 今回の話の主題は、私がロプト教抹消主義から決別することです。 そのため、どうしてもバッツたちの側が悪役になりがちです。 そこで、できるだけ「バッツたちの心情を理解できる」ような背景を作ろうとしました。 …彼の奥さんの事件ですね。 彼の(外見での)モデルとしてイメージしたのは、映画「老人と海」の主人公です。 非常に力強いじいさんです。それを若返らせたのが、絵的なバッツのイメージですね。 リルル バッツの娘。タイプは違いますが、頑固さや意思の強さは、父親譲りのようです。 まえがきで私が書いた「心を和ませる工夫」というのが、彼女の言葉や口調です。 ぶりっこ口調が天然で出てくる、おいしい(?)女の子。 受けを狙わない村娘としての可愛らしさは、かなりのものです。 シムソンのことは、出会った時から好きだったみたいですね。 彼の出自が、(目の前で母親を殺された)ロプト教団であることを知っても、 彼女の心は変わりませんでした。 こういう人の一途な恋が周囲を巻き込むと、時に大きな迷惑をかけることがありますが、 今回は(少なくとも私にとって)彼女の思いは非常に良い方向に作用しました。 彼女のモデルは、恋愛シミュレーション「トゥルーラブストーリー」の、 南弥生です。背が低くて目がぱっちり…といった描写は、彼女そのものです。 ケイン リルルの弟。甘えん坊で、父親に対しては怖さと尊敬とを抱いています。 バッツのしつけがちょっと厳しいせいか、良い子なんですけれど おとなしくて引っ込み思案な子ですね。今回はそのせいで、 バッツとシムソンの誤解が広がってしまいました。 彼には特定のモデルはいません。 シムソン ロプト教団にいた、元暗黒魔道士(の卵)。 今回のキーパーソンではあるのですが、バッツやリルルに比べると 行動が消極的なためか、今一つ目立ちませんでしたね。 でも、これからうまくいくかどうかは、主に彼の努力にかかっています。 リルルと二人で幸せになることを、願って止みません。 彼が自ら見出した、自分の生きる場所なのですから…。 彼のモデルは、「ロードス島戦記」の魔術師、スレイン・スターシーカーです。 ただし、模したのは顔だけで、性格などはかなり違いますが。 3.さまざまな要因 私が、ロプト教徒との宥和政策を取ろうとしたことには、多くの理由があります。 本編でも詳しく語っていますが、もう少し解説しましょう。 最も大きな理由は、実は、ごく個人的なことです…、私自身の、ロプトの血。 シグルド父上と私の違いのひとつに、「ロプトの血を引いているか」という 要素があります。これはただ単に血筋の問題だけではなく、 アルヴィスやイード神殿、その他のところから、ロプトを信じる者の立場、考え方について 触れているか、ということに連なっています。 次に、実際にロプトの一味を殲滅するのが難しいこと。 本編でもここを中心に述べました。「憎しみの鎖は、剣で斬ることはできない」。 私の倫理観の、一つの柱です。 また、それに関連することですが、殲滅作戦は物理的にも困難です。 ユグドラルは地勢が変化に富み、非常に広く、人工密度が低い割に 住民は村村に分散して住んでいます。つまり、隠れ住む場所には事欠かないため、 ロプト信者の完全掃滅はほとんど不可能であると言っても良いでしょう。 逃避行に成功したリーフ王子などが好例です。 また、法律によって、宗教・思想を弾圧すべきではない…、 「行動」を規制すべきである。そういう現代的な感覚も取り入れています。 4.セリユリとロプトの血 このページは、セリス×ユリア主体ですが、この小説では、 私・セリスとユリアが恋人という設定はありません。 私に王妃(ラナ、ラクチェをはじめ、誰でも可です)がいると思って読んでも、 矛盾は生じないようにしました。 (私が「ユリアを護る」と言っていたり、ユリアを、「セリスを誰よりも理解する者」と しているのは、妹として、仲間として、という事で…。) しかし、私が書くからには、セリユリ前提で読んだ方が、 より興味深いものになります。(このサイトでの私が、アルヴィス皇帝に対し かなり同情的であるのも、彼がユリアの父上だから、という要素が強いですしね。) 人間が、力ではなく自分の意思で、ロプトウス復活を防ぎ、竜族に頼らない世界を 実現させようと、私は決意しました。 この決意、方針と、私とユリアが結ばれる事は、真っ向から対立します。 私とユリアは、ディアドラ母上からロプトの血を継いでいるのですから…。 私達は、ロプト復活を防がなければならない…、そう言い切った私が、 真っ先に、ユリアと二人で、その禁忌を破るわけにはいかないのです。 つまり、セリユリにとっての難問が、また一つ増えたわけです(苦笑)。 これを乗り越え、私とユリアは幸せを掴めるのでしょうか? それはまた、別の作品で語ることとなるでしょう。 5.「歴史に学べ!」と現代政治・宗教思想 これは、FEの話ではありません。 現実世界において、実在する政治・宗教・社会問題に ついての私見です。 別ページに用意しましたが、興味の無い方、 自分と異なる意見を見たくない方は、ご覧にならないように願います。 誹謗中傷は行っていないつもりですが、仮にこの文章で不快な思いを されたとしても、私には一切責任を負う事はできません。 また、これについてのご意見は承りますが、時間の都合などで 十分な対応がとれない場合がありますので、ご了承下さい。 では、これにて終了とします。 ありがとうございました。 |