ダークインパクト

第四章 溶かされる氷の心


「・・・リライブ!」
ぽぉっ。
「ありがとうございます。」
盗賊に教われた孫を助けて欲しいと老母が現れて回復してやった。
その少女はセチ、深緑の髪に真紅の瞳の少女。
「もう、リライブを使えたんですね、セチさん。」
「すごいよ、ラナなんて五ヶ月もかかったんだから!」
「ラクチェ、本当の事、言わないでよ。」
解放軍の少女達、ラクチェ、ラナ、そしてユリア。
彼女達を見ると、心から触れ合ってる。
私にはできない事・・・そう、心が、無いから。凍ってるから。
私の任務はユリアを抹殺すること・・・・。
ユリアを抹殺し、セリス達を絶望に追い込む事。
ユリアヲマッサツシ、セリスタチヲゼツボウニオイコムコト。
「セチさん?どうかなさったんですか?」
「顔色、悪いわよ?」
「いえ、なんでも、大丈夫です。少し、用があるので。これで・・・」
セチは治療場から離れて、廊下を歩いた。
ラナ達に言われたように、顔色が真っ青になっていた。
よれよれ状態のまま、歩いていると、ついに倒れてしまった。
「・・・・なぜ、なぜなの?」
暗黒教団の血を引いてながら、感情が豊かな少女 エノン。
生気と共に、情が入ってしまったのか?
そして、セチの体に入ってはならない情が入ってしまったのでは?
彼女の使命を反して、体の抵抗が早いのはエノンの・・・。
「・・・あ、駄目。倒れては。」
彼女はそのまま、気を失ってしまった。
人形にとって、最悪の気分。
光の末裔どもが歩く床に倒れるなんて・・・・。
「・・・ここは?」
気付けば、治療場にいた。
倒れて、誰かが運んでくれたのか?
「あ、セチさん。気がつきましたか?」
そこには、ラナがいた。
「セチさん、具合が悪かったんですね?」
「え、まぁ。」
「廊下で倒れているところをアレス王子が運んできてくれたんですよ」
アレス?
ノディオンの王子で、聖戦士 へズルの末裔・・・。
「お礼が言いたいんですけど。どこにいるか、わかりませんか?」
「あ、リーフ王子と剣の稽古ですよ。」
「そうですか。」
「あっ!セチさん!サンドイッチ、リーンさんから頼まれてたんです。 持っててくれません?」
ラナがサンドイッチの入ったバスケットを差し出した。
「はい、わかりました。」
廊下を渡って、中庭に行く。
そう、教えられ、行き道通りに歩いていたら。
「てぇい!」
「まだまだな!リーフ!」
「くらえ!」
と、アレスとリーフは剣の稽古をしていた。
稽古中だから、しばらく、待っていよう。
「あ!セチさん。」
リーフが声をかけてきた。
「リーンさんに頼まれて、持ってきましたよ。サンドイッチ。」
「アレス!休憩時間、いい?」
「いいぞ。」
リーフはしゃがんで、サンドイッチを食べ始めた。
アレスもこっちにきて、リーフの皿にあったサンドイッチを掴んで、 それを食べた。
「アレス、人の食べないでよ!」
「いいだろ、そこから貰ったら。」
「あの、アレス様。私が倒れたとき、運んでくださって、ありがとうございます。」
セチはアレスに近付き、お辞儀する。
「いいや、構わないが。」
「そうですか?重かったんでは?」
「そんなことはないよ!アレス、ひょいっと持ち上げたんだから。」
リーフが弁解する。
「では、私はこれで。」
「じゃあね、ありがとう。」
リーフ達の稽古場所から、離れ、セチは自分の部屋に戻り、ベットにもたれた。
「・・・いけない、触れ合っちゃ。でも、なに?これは?」
夜、夕食を食べ終わり、またまた寝室に戻るセチ。
「ユリアさん、星が綺麗ですし、二人で見に行きましょう?」
「はい、いいですよ。」
ユリアを誘い、外の広場にいった。
「・・ユリアさん、好きな人はいますか?」
「え!あの、それは・・・・。」
「セリス様でしょう?」
「なんで!?」
図星を当てられて、戸惑うユリア。
「私は・・・元々、冷えた心なんです。」
「え?」
「昔から、好きという相手を特別に思う気持ちがなくて・・・・。
告白されてしまっても、どうするのか、わかんなくて・・・・・・・。
アイスドールとまで言われてしまって・・・。」
「そうなんですか・・・」
少しの間、沈黙が漂う。
ユリアから口が開く。
「まず、相手を認めてあげること・・・そして、心から親しめばいいんですよ。セチさん。」
「心から・・・」
「セチさんも人間です、自分を認めてくれた人はいますか?」
「え・・?」
ぱきぃぃぃん!
セチの頭のなかで、なにかが割れる音がした。
自分を認めてくれた人・・・・・。
自分の手で殺してしまった、エノン。
彼女は私を人形じゃなくて、セチという少女として見てくれた。
そして、認めてくれた。
「私、ここに来る前にある女性に認めてくれました。
彼女は私を氷の人形じゃなくて・・・セチという少女として・・・認めてくれた。あの時、一瞬だけで、嬉しいって思った。
だけど、イード砂漠に巣を食うダークマージに洗脳されて・・・・・。
彼女を殺してしまったんです。」
「そんなことが、あったんですね?」
「彼女は最後でも私をセチって呼んでくれました。 悲しくって、嬉しくって、感情が撹乱してしまった。そして、レンスターまで来れたんです。」
「セチさん・・・大丈夫です。私達がいますから、仲良くしていきましょう?」
ピキッ!
また、割れた。私の人形としての・・・・。
「は・・い・・・ユ・・リ・・ア・・・さん。」
「帰りましょう?」
「はい・・・」
二人が室内に戻った時、マンフロイが現れた。
「感情が表れたか・・・エノンを始末するのはこっちがするべきだったな。 まぁ、よい。感情を消してやるぞ。セチよ・・・・。」


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