ダークインパクト

第五章 崩壊した人形の氷


セリス率いる解放軍はトラキア軍から人々を守るレジスタンス、 マギ団のリーダー、セティに会い、彼の魔法でセティは聖戦士 セティの末裔だとわかり、 解放軍に迎えた。
そして、竜騎士傭兵のトラキア軍と話し合いするつもりだったが、 戦う事になってしまった。
そして、竜騎士を率いていた女騎士がリーフの姉だとフィンはいう。
彼女は、両親共々、イード砂漠でトラキアのハイエナに殺されたと思われていたが、 実はトラキアの王女として育てられていたアルテナ。
リーフの説得でなんとか仲間に迎えた。
トラバント王はリーフに敵討ちで倒れ、その息子 アリオ−ン王子はユリウスに連れてかれた。
「兄上・・・」
アルテナは心配していた。闇の皇子と恐れられているユリウスにさらわれて、 なにをされているか?彼女に本当の兄のように接してくれて、 嬉しかったんだろう。その兄が連れ去られたんだから・・・・。
「アルテナさん・・・。」
皆も彼女のことを心配する。
アルテナはそれに励まされ、立ちあがることになった。
それよりも、私は使命を果さなければいけない。
ユリアを抹殺して、セリス達を絶望に追いこむ。
それが、私の使命・・・・。
ミレトスで殺さなければ・・・・いけないのだから。
解放軍はミレトスに上陸し、そこに駐留することに。
「セリス様、ユリアさん。あっちに綺麗な髪飾りがありますよ。」
「えっ!本当?いこうか、ユリア、セチ。」
「はい!」
どうやら、セリスはユリアになにかを買ってやるようだ・・・
その時に・・・・。
「強引に買わされちゃったな、あのおじさんに。」
「いいじゃないですか、ユリアさんに合ってると思いますし。」
「そうですね、セチさん、ついてきてください。セリス様、待っててください。」
「うんじゃあ、待ってるから。」
セチとユリアは奥の路地にいった。
そしてユリアは袋から髪飾りを取り出して、銀色の髪に巻き始めた。
「どうですか?セチさん。」
「似合ってますよ、ユリアさん。」
ここで、殺す、ユリアを!
「セチさん?」
きゅいいいん!
ユリアをあの黒いなにかがつつんだ。
「きゃあああああああああああああああああああああああ!」
「!?」
「ユリア!?」
この悲鳴にセリス達が現れてしまった。
しかし、どんどんユリアを包むなにかが大きくなる。
「う・・あ!!」
「セチ!?どうかした・・・」
「セリス!近寄ったらダメだ!」
レヴィンがセリスを止める。セチに近付くことを・・・。
「なんでだい!?レヴィン!セチまで危なくなるだろ!?」
「ユリアを襲っているのはセチだ!」
「え・・・?」
黒いなにかはセチの体内に入った。
ユリアはぐったりしている。いや・・・死んでる!?
「ユリア皇女の生気はもう、ない。」
「セチ・・・君は一体、何者なんだ!?」
セリスが私に問う、何者かを。
「私は闇の人形・・・ダークインパクト。」
「ダークインパクトだと・・・。」
「レヴィン!知ってるのか!?」
「暗黒神、ロプトウスによって創られた人の生気を奪う人形だ・・・。」
レヴィンが私のこと、闇の人形のことをセリスにいう。
「そんな!セチがそうだというのか?」
「・・・その通り、私はダークインパクト・・・。
闇の人形、使命は光を消す事・・・・。」
「光・・?ユリアが?」
知らないのか?ユリアのことを・・・?
「教えてやろう・・・この娘、ユリアはお前の母親、ナーガの継承者、 ディアドラとアルヴィスの娘・・・ユリウスの双子の妹であり、お前の妹だよ。」
「妹・・・?ユリアが・・・?」
セリスは妹とは知らずに愛してしまっていたからショックを受けているだろう・・。
「この娘はもう・・・死んで!?」
「う・・うん」
ユリアが立った。全て生気を吸い取ったというのに!?
ナーガの精神力か!?ありえない。
「セリス様、いえ、お兄様。」
「ユリア・・・?」
ユリアはセリスにまた微笑みを交わし、私の方を向いた。
「ダークインパクト・・・いえ、セチ。あなたはすでに感情をもっているのね・・・。 解放してあげる。闇の呪縛から・・・・・。」
ぱききぃぃぃん!!
「あ・・・」
人形としての全てが壊れた・・・呪縛が消えた。
「私は・・・人間としていていいの?」
「ええ、もちろん。」
ユリアが言ってくれた。私は人間として彼女達の元を行こうとした。
「セチ、おいで。」
皆、言ってくれる。迎えてくれる。
「うん・・・!」
しかし、体が動かない!?
「え?」
あ・・・どんどん、力が抜けていく。
「まったく、失敗作だのう。ダークインパクトよ。」
「マンフロイ!!」
うそ・・・もう、いけない。
「役ただずはもう、消えろ。」
「セチ!」
皆が助け様としている。
「いいの・・・エノンがいてくれるから・・・。ユリア、セリス。 ユリウスを倒してね・・・。きっと。」
しゅうううううううううううっ!
「私達は負けない。セチのためにも。」
ダークインパクトの彼女は闇の呪縛から逃れ、セチという少女となったのでした。
聖戦士達の末裔はマンフロイ、闇の魔将、そしてロプトウスを倒し、 世界を平和にした。
皆の為、親達の為、そして彼女の為に・・・・・。


ダークインパクト 完



 セリス(コメント by マルチくうねる)
 こちらは、篠原奈央様から投稿していただいた小説です。 ありがとうございます。
 闇の人形・ダークインパクトを主人公に、感情の目覚めと葛藤を描いた 全五章にわたる大作です。

 ダークインパクトが少女になるまでの過程で、最も大きな役割を果たしたのが エノン。名前を与えたことが、全ての始まりだったのでしょうか。 「セチ」という名前がついた時点で、彼女は人形から何者かへの脱皮を始めます。

 ラナ、リーフたちとの交流を通し、感情を芽生えさせたダークインパクト。 決定的だったのは、ユリアへの問いかけだったでしょう。
 ユリアの知っている「好き」という気持ちの正体を、自分も知りたい。 その願いが、ユリアに問いかけをさせ、そしてユリアを動かしたのかな、と。
 そして、恋愛ではなくても、実は彼女にはすでに、好きと言える人がいたということを、 ユリアの言葉によって思い知ったのだと思います。

 必殺のはずのダークインパクトの攻撃でユリアが倒れなかったのは…、 結局のところ、ユリアを殺そうとする気持ちが失われていたからである気がします。
 人間となったセチが、いちばん行きたい場所。 それは皮肉にも、自分をいちばん大切にしてくれたエノンのいる場所… だったのではないでしょうか。


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