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愛さずにはいられない
「ユリアってかわいいよね…」 机に両肘をつき、手に顎をのせて、ぼうっとした表情で言った のはセリスだ。 大切な話があるからと部屋に呼び出された三人…スカサハとデ ルムッド、そしてレスターは、セリスのその発言に脱力した。 「な、何なんですか、いきなり!」 「大事な用があるっていうから来たのに…」 スカサハとデルムッドの言葉に、突然眼光を鋭くしてセリスは 二人を睨み付ける。 「い、いや…大事な用ですよね、これも。」 一生城でお留守番とか、変なあだ名を付けられるとかいう嫌が らせを予知したデルムッドは、冷や汗をかきながら訂正する。 「それでさ…かわいいよね。…ユリアって…」 顔を赤らめひどくもじもじしながら言うセリスに、内心気色悪 さを感じつつ、三人は顔を見合わせた。 …確かに顔はいい。だが、三人はユリアにどーしても好感が持 てないでいた。 一人でブツブツ言っていたり。 突然あらぬ方向をじっと見たり。 意味不明な言動をしたり。 とにかくユリアの行動は皆の目には不気味に映ったのだ。 だがそんなことを今この人の前で言ったら殺される。必ず殺さ れる。 「…そうですよね。かわいいですね。…顔は。」 「その“顔は”っていうのすっごくひっかかるんだけどまあい っか。 はあ〜やっぱりそう思うよね…ユリア…vvv」 レスターの発言に対し前半はやたら早口で、後半はうっとりと セリスは言った。 「あの…セリス様はユリアが好きなんですか?」 スカサハは直後に自分の発言を後悔した。スカサハの頭上をセ リスの剣がかすめて飛んだのだ。短く切れた髪がはらはらと舞 い落ちる。 「やーっだなあもうスカサハ!そんな訳あるに決まってんじゃ ないか!!どーして言うかなそんなハッキリとあー恥ずかしい」 うかれたセリスを前に三人は思った。 事態は深刻だ…! セリスはユリアに恋をしている。これはやっかいなことになった。 ユリアと両思いになったとしたら、毎日ノロケ話を聞かされる こと必至だ。そしてその度に剣が2・3度飛ぶことになるだろう。 逆にユリアがもしセリスをふったりしたら…!セリスは世界を 滅ぼしかねない。いや、奴ならきっとやる!! 雷をバックに劇画タッチになる三人をよそに、花をパア〜と撒 き散らしながら春色気分のセリスは問いかけた。 「ねえ、私はどうしたらいいかなあ…。ユリアに告白…告白し ちゃおっかなああ!!!」 興奮して剣を振り回すセリスから距離を置きながら、レスター は汗を拭いながら提案した。 「い、いや、それはマズイ…じゃなくて、オレ達が先にユリア の気持ちを確かめてきますよ。ええ、そうした方がいいですっ て!」 「そう…?じゃ頼むよ。さりげなくね。今すぐに。早く行け。」 「はっ、はいぃっ!!」 三人は火の粉が振りかかる前に大急ぎで部屋を飛び出した。 こうなったらユリアとくっついてもらうしかない。髪の毛は変 な形にカットされるかもしれんが、世界を滅ぼされるよりはマシだ。 ユリアが嫌だと言わないように、説得する必要がある。 ユリアは中庭にいた。 噴水を背に小鳥と戯れる姿は、天使のように美しかった。 三人はその光景に一瞬見とれてしまった。 「…ハッ!?誰!??」 ユリアが振り返ると同時に、ぎゅいーんとデルムッドを光の柱 が包み込み、彼は消し炭となって地に倒れ伏した。 「うわーっ!デルムッド、しっかりしろーー!!」 「あら、味方でしたか…良かった…」 「良くないだろ」 セリスから貰った最高のキレ味のオーラと、ユリアの恐るべき 魔力とのコンビネーションで、デルムッドは既にこときれかけ ていた。 「ごめんなさい…リライブをどうぞ…」 チャララーン♪レベルアップ!魔力が1上がった!魔防が1上がった! 「まあ、うれしい…」 「あんたワザとやったな」 「うう、ひどい…(泣)」 「凶悪さに磨きがかかったな…」 外見の美しさに騙されてはいけない。三人はひとつ賢くなった。 「あの…それで、わたしに何か…?」 「あっ、そうだった!あのさ…ユリアって、好きなヤツとかい るのか?」 「えっ…?」 ユリアは少しとまどったような顔をした。もしや脈アリか!? 「スカサハは、わたしのことが好きなのですか…?」 …一瞬、ものすごい殺気を感じたのは気のせいか?後ろを振り 返りながらスカサハは思う。 「ち、違うよ。ユリアのことを好きだっていう人がいるからさ…」 「そうですか…それは残念ですね…。わたしには他に好きな人 がいます…」 「えっ!?それは誰なんだ!??」 「セリス様…」 ぽっと頬を桜色に染めて、可憐な声でユリアは答えた。 三人の目的はあっけなく達成されたのだった。 だが、やはりもう一つ聞きたいことがあった。 「えーと…なんでセリス様を…?」 ユリアは恥ずかしそうに細い指を絡めながら、理由を次々と並 べあげた。 「だって…わたしを守ってくださるし、わたしに素敵な贈り物 をくださるし、音も無く背後に立っていたりするし、白はちま きだし、もみあげだし、ロンゲだし…もうわたしには彼しか見 えません…」 ユリアはこの上なく愛らしい微笑みを浮かべる。 「(後半はほとんど意味のない理由だな…)」 三人はげっそりしてその言葉を聞いた。 「今の、本当っ!?ユリア!!」 背後の廊下の柱の影から、突然セリスが飛び出して叫んだ。 「セ、セリス様?!聞いていらしたのですか…」 真っ赤になりたじろぐユリアの手をギュッと握りしめ、セリス は興奮して身を乗り出した。 「うれしいよ、ユリア…僕も…」 「セリスさま…」 最凶危険人物カップルがここに誕生した。 「恐ろしい…」 「これしか道はなかったんだ…そうだろ?」 「ラナには諦めるように言っておくか…」 三人に一抹の不安を残しながら、セリスとユリアはめでたくカ ップルになりましたとさ。めでたしめでたし。 (ちょーじん様よりコメント) 単に、セリスに「ユリアってかわいいよね…」と言わせたいが ためにこの話を考えました。(バカ) あらすじも考えず、その場のノリでテキト〜に書き上げたので 何のひねりもございません…。速攻でできました。(死)こん なんばっかり送ってすみません〜(汗) ラストのユリアのセリフの「セリスさま…」がひらがなになっ ているのは、わざとです。ユリアの甘えた感情というか、愛情 を込めてひらがなにしました。 それでは、読んでくださりありがとうございました〜。(無理 やり) (コメント by セリス様〜)こちらは、ちょーじん様から投稿していただいた小説です。 暴走機関車な私とユリア。ユニットとしての性能と 光輝あまねく…な血筋と権力に物を言わせ、 目標に向かって一直線なナイスカップルです。 ぼくたち本人はそのはた迷惑っぷりに全く気づかず、 あくまでほのぼの、純粋な少年少女の恋愛世界に 浸っていることがポイントですね。 さあ、ユリア、ぼくと一緒に行こう。 きみの手の中に、世界をプレゼントしてあげるよ…! 感想を伝えたいという方は、ちょーじん様あてに メールでお願いします。(ぺこり) |